この記事を読んでいる方は、以下のような悩みを抱えているだろう。
・SES選びで失敗したくない
・どのSESならキャリアを積めるのか
・本当にSESを選んで良いのか
筆者は現在都内のSES企業に勤めているが、以前はSIer企業に勤めていた。
当時はSESについて悪い噂ばかりで避けていたが、技術力向上を図るため、さまざまな案件を経験できる働き方としてSESを視野に入れ転職。その時の経験をもとに、SESの選び方を話していこうと思う。
「心の底ではSESについて興味を持っている」もしくは「SESについて嫌悪感を抱いているが、実情は知らない」といった方の悩みを一つでも解消できる記事となっている。
これから先のキャリアを考える上でとても大切な問題だ。一緒に考えていこう。
SESの正しい選び方
私もSES企業に転職する前は、ネットで調べる記事の多くがSESの悪い内容を書いてあり不安を感じていた。
しかし、技術力を磨くためには幅広い案件に参画できる環境や、スキルについて向上心のあるエンジニアがいる環境に身を置くことが必要だと考え、自分なりにSESの選ぶ基準を考え転職を決意。
その基準が以下である。
- 案件の下請け構造が明確
- 案件の技術の種類が豊富
- 単価制度の透明性
- エンジニア1on1制度
- 学習支援の福利厚生・制度が充実
細かい部分はもっと基準を設けていたが、主に上記の五つを軸にSESの選定を行なっていた。それぞれ基準にした理由と実際にSESで働いていて感じることを解説していく。
SESの選び方①:案件の下請け構造が明確
SESに関するネット記事の多くが、下請け構造が不明確による希望していない案件配属への不満だ。通常、一次請けや二次請けの案件であれば、基本的にコーディング業務を任されることが多い。
しかし、三次請けや四次請けの案件を多く保有するSESを選んでしまうと、テスターやバグ調査などがほとんどで、機能実装といったコーディング作業をすることが難しくなる。
言い換えれば、下請け構造を確認し、一次請けや二次請けの案件を多く保有しているSESを選ぶことで、コーティングに携われる機会が多くなるということだ。
SESの選び方②:案件の技術の種類が豊富
SESが保有している案件の技術について把握することも重要だ。単純に幅広い技術に携われるチャンスが多くなることもそうだが、実際にSESで働いていて感じることは、案件の技術の幅が広いとキャリアビジョンを常に広げて考えられるメリットがある。
また、今はJavaを使っているが、Swiftを使った案件に参画したいとなった時に、その技術を扱っている案件があることで、方向転換もハードル低く行うことができる。
技術力を身につける目的でSESを選ぶなら、この点もしっかり判断軸にすることをおすすめする。
SESの選び方③:単価制度の透明性
SESでは単価という考え方が非常に重要だ。単価は自分の給与に直接影響するもので、相手企業が支払うあなたの技術代である。この単価でSESと相手企業間で取引が行われており、SESが利益として得ている金額を差し引いたものがあなたの給与だ。
つまり、あなたの単価がいくらで、SESがどのくらいマージン(利益)を得ているのか知ることで、企業の正当性が判断できるのだ。
例えば、あなたの単価が80万円でマージンが40%の場合、あなたが産んだ利益80万円に対し、あなたの給与は48万円となる(ただし、この他にも税法的に引かれるものもあるので、あくまで単純な数値の例だ)。
この単価制度がどのような仕組みか、明確にエンジニアに対して公開しているSESは、選んでも良いだろう。
SESの選び方④:エンジニア1on1制度
多くの企業に設けられている1on1制度だが、こちらが徹底されているSESはエンジニアとして働きやすいだろう。理由としては、自分のキャリアについてや、案件に対しての希望を伝える機会が多く存在するからだ。
1on1制度でなくても、営業に直接あるいは間接的に自分の望むキャリアを共有でき、希望案件に対する要望を伝えられる制度があれば問題ない。とにかく自分の意思を伝えられるかどうかが重要である。
また、中にはお客様(参画案件)先からの評価を共有してくれるSESもある。
自社で設けている評価基準とお客様先からの評価を全てエンジニアに共有し、自分がどのような評価に基づいて単価を設定してもらっているのか、知ることができるSESもあるので、1on1制度の有無や頻度、どうエンジニアのケアをしているか調べておくと、選択の成功確率を高めることができるだろう。
SESの選び方⑤:学習支援の福利厚生・制度が充実
学習支援の制度や福利厚生も見ておくと良いだろう。例えば、「月⚪︎冊まで会社の費用で購入可能」「年間⚪︎万円まで学習書籍の購入可能」「Udemyのビジネスアカウントの登録」など、学習リソースに対する支援が豊富なSESほど、エンジニアの成長や働きやすさを考えていると判断できる。
近年は、多くのIT企業で上記のような制度が整えられているが、「あと一歩、制度を充実させてくれたら良いのに」と感じる企業がほとんど、というのが私の感想だ。
今まで紹介した選び方の中では、優先度は低い。しかし、学習支援制度が充実している企業に身を置くことで、スキルアップを図ることができるのもまた事実である。
俗的な考え方だが、企業の資金で自分のスキルを磨けるのであれば自己投資の軍資金も減り、スキルを企業に提供できる範囲も増えるのでお互いWin-Winだと私は考えている。
SESの正しい選び方を実践
ここまでで、SESの選び方について理解できただろう。また、基準を満たしているSESを選ぶことで、どのようなメリットがあるかも理解していただけたかと思う。
次は実践。SESの情報を集めて、自分が目指すべき環境を見つけていこう。もし友人や知り合いにSESのツテがあれば、それが一番手っ取り早い。しかし、そのようなツテがない場合は、転職エージェントを利用するのが良いだろう。
私自身も、まずは転職エージェントに登録し、求人情報や企業の情報を集めた。最近では、エージェントを通じて企業と繋がり、カジュアル面談で採用担当者から企業の情報を得ることが可能だ。
SESを選ぶ際、私も積極的にカジュアル面談を行い、採用担当者に基準を確認して判断した。ここまで読んで、疑問が湧いてくるかもしれない。それは、「どの転職エージェントを選べば良いのか?」ということだ。
私はいくつかの有名な求人エージェントに登録して活用したが、IT業界、特にシステムエンジニアとしてのキャリアを探すのであれば、エンジニアに特化したエージェントが一番理解が早く、こちらのキャリアやニーズを考慮してくれる印象を受けた。
最後に、実際に私がSESに転職する際に使用したエージェントを紹介する。ただし、これはあくまで私の場合であり、相性もあるため、まずは登録して担当者と話してみることが重要だ。
Geekly|IT特化型転職支援サービス
GeeklyはIT・Web・ゲーム業界特化の転職エージェントだ。担当のアドバイザーもIT業界やシステムエンジニアに対する知見があり、キャリアや現状の課題など相談することで、どの企業があなたに合っているか的確に紹介してくれる。
私も実際に利用し良かった点は、アドバイザーがIT業界に詳しく、どの技術を磨いていきたいか、プログラマとしてまずは経験を積み、数年後はプロジェクトマネージャーやPMなども視野に入れたいなど、より具体的な相談にも真摯に対応してくれた点である。
また、転職時に相談しにくい年収交渉も要望を最大限受け止めてくれ、最後まで交渉を続けてくれた点も非常に評価が高い。自分がSESに対して嫌悪感を抱いているが、スキルアップを目指したいならSESが近道であることも教えてくれたエージェントであり、自信を持ってオススメできる。
レバテック|ITの仕事さがしはレバテック
レバテックもIT業界に特化したエージェントだ。フリーランスや転職者向けなど、カテゴリごとに特化したサービスを提供しているので、あなたの目的に合わせて求人探しを進めることができる。
私もGeeklyと並行して利用していたが、レバテックはより幅広いカテゴリで案件を保有しているため、SESだけでなく自社開発やSIerなどさまざまな業態の企業を探すことが可能だ。担当者もIT業界の仕組みやどの企業がどういった技術に強く、どのような制度を整えているか把握しているため、手始めに業界全体を調べるには良いだろう。
自分も当初はiOSアプリ開発に興味があり、技術チェンジを考えていた時も真摯に相談に乗ってくれた。また、その道に進む際の懸念点など、良いことだけを話すのではなく、現実的な部分も話してくれるため、信頼できるエージェントだった点は非常に評価が高い。
最後に
ここまでで、SESの選び方と、私が実際に利用したおすすめのエージェントについて紹介した。あくまで私の経験に基づく情報を共有したものだが、似た境遇の方々の助けになると確信している。
これからSESを選び、自分のキャリアを考えようと前向きに進もうとしている方も、この文章を読んでいる中にいると思う。
その際、紹介したエージェントを利用する方もいるかもしれないが、エージェントは人助けではなく、ビジネスとして活動していることを忘れないでほしい。場合によっては、自分にあまり合わない求人を紹介されることもあるだろう。しかし、それもビジネスの一環として理解する必要がある。
卸売業者が売れ残った商品を積極的に売りたいと考えるように、エージェントが紹介してくる求人にも、裏にある意図がある場合があるかもしれない。
だからといって、質の悪い求人が紹介されると言いたいのではない。大切なのは、自分の軸やキャリアビジョンがないまま、言われるがままに魅力的に感じた求人を選んでしまうと、ネットでよく見る「SESはやめとけ」と書き込む人たちと同じ道を辿ってしまう可能性があるということだ。
もしここまで読んで、迷ったり分からなくなったりした場合は、ぜひ私に相談してほしい。簡単な相談には応じられるので、自分がどうしたかという経験を共有することで、きっと将来の一つの指針になるだろう。